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2度目のVR界への入口「VIVE Focus Vision + アルトラ」雑レビュー

(本筋に関連しない)書き始め

前の記事を書いたのは 2024-04-07... 随分と時間が経ちましたね。 もともと気が向かないと書かないのもありますが、今はほとんどすべての時間を"Eternity"の開発に割いているので開発途中のゲームの話は一切出さない+そもそも公開出来るネタが無いのと、実は去年の秋辺りでメインマシンのSSDが突如お亡くなりになってOSをクリーンインストールする羽目になり、YKRV.NETの更新機構が正常に動作するかどうかをテストする作業を予め組んでいた予定を優先した結果、かなり先送りにしていたので、確認も兼ねて久々に記事を書きに戻ってきました。環境を再構築する事になっても正しく動作するように設計していたので大丈夫...なはずです。

まえがき

購入したFocus Visionの写真

今回の記事は、元はTwitter側で雑に書いていたレビューをある程度使い込んできた上での追記が行われた HTC Vive Focus Vision+ViveトラッカーUltimate(通称:アルトラ)の雑レビュー記事です。 VR経験についてはOculus CV1のみです。Oclus時代独自の接続ケーブルの欠陥設計が原因で発生する"no hdmi"問題で本格的に使い込み始める前に高級文鎮となった悲しい過去を持っており、しばらくVR界からはデバイスの発展を見ているだけの側に回っていましたが、24年の終わり頃、まとまった余剰資金が手に入った事やCV1で発生したような問題を少なくとも回避出来る可能性がかなり高くなった+CV1で少なくとも実現できていた私がVR機器に求める最低水準に近かった"Focus Vision"を見かけたので購入してしまいました。ちなみにOculus買収後のMetaは選択肢から完全に外れましたね。有線接続でも圧縮映像強制でPCとリンクさせる以前にDP接続が標準利用できない仕様なんて冗談でしょう? (25.02.19辺りでDP有線キャスティングが可能になっていたようですが、そもそもOculusを引き継いだMetaの対応を見てきている私としては個人的に好んでいないので買うことは無かったでしょう)

総評

まずは総評からです。Focus Vision自体はスペック的にも仕様的にもターゲット層はエンタープライズ向けで個人向けモデルとして販売が行なわれている少々特殊な機種なのは知っている上で、もしこのモデルを購入する際には

・スタンドアローンモードは非常用に稼働させられるだけだと割り切れる

・RTXハイエント番台を所持していてDPストリームによるPCVR専/クオリティ重視かつアルトラ/フェイトラ/アイトラといったトラッカー群を1製品のオプションだけで完結させたい

・エンプラモデルが個人向けで入手出来る/フレネルレンズのみしか経験がないのでクッキリとした画質にこだわりはない

・HMDの位置を固定したまま目を使って周囲を見渡さない(DCSといったリアル系フラシム系を本格的にプレイする方の場合は致命的になりえるかも)

という点に納得出来るならオススメは出来ます。上記いずれかの1つでも納得できない点がある場合は素直にMetaのHMDの方が良いかもしれませんね。

購入前に知っておいた方が良い事

さて、これ以降の内容をお読みの方は本格的に検討している方が中心となると思われるのでこの手の製品ではよくある事を先に書いておきましょう。

>バッテリー充電中のHMD使用について

充電コードを接続している状態のFocus Visionとコンセントを同時に写した写真

バッテリー充電中に勿論プレイは出来ますが、充電用の付属ケーブルがかなり短い為、延長ケーブルを持ち出そうにもよくある一般的なものを使用すると片側に重量負担がかなり掛かるのでプレイしづらくなります。よって充電中にプレイする事自体オススメしません。どうしてもプレイしたい場合はホットスワップが可能な機種なのでオプションの予備バッテリーをついでに同時に購入すれば解決できそうです

分離したバッテリーを独立充電出来る事が確認できるコンセントとバッテリー込みの写真

画像の通り、バッテリー本体自体に充電ポートが備わっており、Focus Vision本体はあくまでもバッテリーを接続する箇所を上から覆っているだけの状態で運用する方式の為、一般的な充電式機器でよくある本体にバッテリーを組み込んでいる間だけしか充電できないということはなく、分離状態で独立して充電できます。初めて見た時に"クレイモア"だと思ったそこのアナタ! 大丈夫です。FPSゲーマーであればおそらくそう思うのは必然でしょう。

>PCVR中のバッテリー消費について

PCVR中はバッテリーの消費量がスタンドアローン動作時よりもかなり消費量が減るので数時間程度であれば充電インジケーターが1つも減らないぐらいです。6時間超えといったような長時間連続プレイはまだ出来る程使い込めていないのでなんともですが、余程のVRプレイヤーでない限りは予備バッテリー無しでも気にならない程度だと思います。休憩の合間に充電も出来ますしね。ただ、過去のファームウェアでPCVR中のバッテリー消費が突然激しくなったといった問題があった時期も確認されているようなので、ファームウェアによってはそういった問題に再び遭遇することもあるかもしれませんね。

>ハンドコントローラー・アルトラの充電絡みに関する注意について

充電ケーブルや付属のコンセントといった充電全般に関する注意点です。まずハンドコントローラー・アルトラの充電接続ポートはUSB Type-Cで構成されています。これらの機器の充電は購入したオプション次第で充電の制約が変わります。

「Focus Vision・アルトラ 3+1キット」購入 / 「DP接続キット」未購入

アルトラキット側にはType-Cケーブルしか同梱されておらず、Focus Vision本体にはType-C電源アダプター(公式名称: HTC USB PD電源アダプター(30W))はなんと1つも付属していない為、Type-C電源アダプターを購入しない場合、充電するには本体/アルトラキットに付属しているType-Cケーブルを電源供給可能なPCポート等に繋ぐ以外に充電は行えません。(重要)

「Focus Vision・アルトラ 3+1キット」「DP接続キット」両購入

Type-C電源アダプター同型が1つ付属している為、PCに必ずしもUSB Type-Cポートが無くとも充電は行えますが、これは本来、DP接続用コンバーターの補助電源供給用に用意されたものなので、充電中にDPキットを使用する場合、DPキットの補助電源供給を切る事になってしまい「DP接続をしながらコントローラー・アルトラ複数個を同時充電したいんだ!」という場合は前述のType-C電源アダプターもしくはVive USB-C マルチチャージャー (5ポート) オプションを事前に追加購入しないと実現できません。コントローラー充電中にHMD自体を使うこと自体がほぼないと思うので問題は無いと思いますが

>DP接続キット関連の話

DP接続キットを用いる場合、前項で説明したように付属のコンセントを用いて補助電源をDPコンバーターへ供給する必要があります...が、もし電源供給がない場合は動作しないのか、あるいはPC側でFocus Visionを認識すらしないのかという件について先に言っておくと、私の環境では補助電源ケーブルを抜いていてもなんと動作してます。おそらくRTX 4090を使用している都合上、PC電源も1000W以上のものを使用している事で供給が追いついている可能性がありそうですが、この件とは別にredditの方でType-C電源アダプターの電力供給が足りないせいで不安定になり、定期的に切断されデバイスが動作しなくなるという問題に遭遇したという報告があるので、しっかりと補助電源を接続した状態で運用すべきでしょう。(ちなみにスレ主は、SteamDeckの電源アダプターに変える事で解決したと報告されてますが、電源供給が現在の生産ロットでも本当に不足してしまうのかは不明です。今のところ私の環境では同症状が発生していないとだけ。)

Reddit - For those of you having issues with DisplayPort on Vive Focus Vision, I may have a fix for you!

>アルトラのファームウェアアップデートについて

アルトラに限る話ですが、ファームウェアアップデートの手段について確認しておくべき事項がありました。アルトラのファームウェアアップデート手段は2つ存在しており

1、WifiドングルをFocus Visionに刺してFocus Visionを中継してファームウェアをアルトラに適応する

2、PCに直接続してVive Hubソフトウェアを経由してアルトラに適応する

がありますが、PC直接続によるアップデートに限り、少なくともUSB Type-Cポートが2つ以上要求されます。私の場合はマザボに備わっている1ポートしか無いのでこうなるとWifiドングルステーションを接続しただけでポートが埋まってしまい、2ポート目以降にアルトラが接続できない為、必然的に1番目の手段でのアプデが強制されます。最も、1番目の手段で困ることは特に無いのでPCですべて管理するつもりだったのであれば先にType-Cポートの確認をした方が良いというだけの話になります。

カテゴリー別 Focus Vision全般レビュー

ここからはカテゴリーに分けて詳細なレビューを載せておきます。

>スタンドアローン機能

CV1から久々に移行した身であり、そして魔のno hdmi問題のせいでCV1本体は生きていても不良設計ケーブルが再入手出来ずにVR界への介入をしばらく断ち切っていた身としてはスタンドアローンがあるだけで少々余裕が出来たとは思いましたが、とにかく画質が荒く感じるので常用は非推奨です。DPキットによるPCVRを体験していれば尚の事です。

>PCVR

基本的にスタンドアローンOS上でストリームアプリを返してSteamVRとの連動を前提とした設計がされていました。SteamVRを終了させてもSteamVRが自動的に起動されるのでこれが覆ることはないでしょう。 DP・USB・Wifiストリームと3種類ありますが、USBモードでは画面に若干の歪みが入るぐらいには画質が下がりますが、DPモードになると途端に画質が上がります。CV1の頃は片目解像度がまだ低かったのでドットが認識できてしまっていて体験を損ねていたんですが、この機種ではドット感を一切感じていないのであの頃から随分と変わったなという印象が強いですね。

>DPモード関連

DPモード中の最高フレームレート上限についてです。90fpsモードはかなり安定しています。120fps(beta)は現時点では時々フレーム飛びが起こる事や90fpsモードでも接続途切れが割と起こるので、この辺りはドライバ・ファームウェアが成熟すれば解決できそうです。少なくとも今は90fpsで運用するのが良いかと。

>フレネルレンズ

そもそもフレネル以降のパンケーキレンズを未体験なので何とも言えないんですが、よく言われるゴットレイは個人的にはそこまで気になりませんでした。凝視したり明暗の差がはっきり出るシーンなら気づく事もある程度です。それよりは立体視による没入感と前述したドット感の無さによる快適さの方が上回るので問題が無いとも言えそうです。

>FOV/視野

CV1よりは装着後にフレームが存在している事に気がつかなくなるほどには広角なFOV設計になっていると思います。そもそもデスクトップのFPSゲー並に広い視野を素早く見渡す必要があるゲーム自体が今のところ少ないのでプレイする目的次第では問題ないように思えます。

>可読性/スイートスポット

スイートスポット自体がかなり狭いようで、レンズ中央に正しく目の位置が合っていないと一気に全体の可読性が下がります。これによりプレイ時にHMDをかなり意識して固定(頭部マジックテープで留める位置をキツめにするかHMD装着中に上からヘッドフォンを被り、位置固定を強める工夫をする)しておかないとメガネの位置を時々手で合わせるのと同様に位置調整を頻繁に入れる事が多いです。また可読性についてはVive Hub側の画質設定やSteamVRのレンダリング解像度設定によっては読みやすさが変わるようです。当たり前の話として解像度が高い方が見やすくなりますが、現時点で高設定にしてしまうとRTX 4090であっても動作が不安定になるので、比較的どんなシチュエーションでも安定しやすいパフォーマンス自動設定運用の場合はプレイするタイミングによって読みやすかったり読みにくかったりと、プレイ毎に可読性が変わる感覚がありますね。他に極端な例を挙げるとするなら、目のみで周囲を見ると端に置かれたUIや文字は読めなくなるので厳しいです(特にDCSといったフラシム系では横目移動のみでパネル操作をするといった場合に全く文字が読めなくなるので頭自体をそちらに多少向けなければならず、結構な問題となります。)

>IDP自動調整

自動調整は個人使用の場合は付けはずしするだけで割と頻繁に調整が行われるので、1台を身内でシェアする事が無いなら、スタンドアローンOS上で一度自動測定をして微調整をした上でマニュアル制御モード固定にするのがオススメです。元々CV1ではマニュアルでアナログスライダーを操作していたものではありますが、Focus VisionではOS上での電子操作に変わったので一度設定すれば基本的に意識する必要すら無くなるのは地味に有り難く感じています。誤操作でズレる心配ともこれでおさらばです。

>スタンドアローンOS全般

チュートリアル完了後、Viveアカウントにログイン出来ない事情がある(二段階認証24h待ち等)場合、OSオプションがVive browserアプリ内のみからしかアクセスできないようです。PCVRは非ログインでもケーブル接続時に専用の選択肢ウィンドウが出てくるのでログインせずともPCVRプレイは可能です。

>Vive Browser

標準ブラウザアプリのVive Browserですが、最低限のプライベートブラウスやクッキー削除といった設定は存在していてもブラウザ限定プロキシ設定やアドオン概念が存在しない為、現状ではスマホアプリ未満の完成度としか言えません。このブラウザの唯一のメリットはWebXR/WebVRが使える事だけでしょう。また、他のブラウザに逃げようにもViveportにサード系ブラウザは実質存在しない(火狐VRを引き継いだ物でWolvicが存在しているようですが、アプリのスクショを見ると標準ブラウザと外見がほぼ同一かつ標準ブラでも火狐系特有の画面が一部見れてるので未検証)為、VR空間上で本格的にブラウジングしたいならVDやXSOverlay経由によるブラウジングを推奨しておきます。

>パススルー/MR

WinMR開発打ち切りを観測していた身としては少々期待していたのですが、結論から言えば少なくともこのモデルではMR要素を期待しないほうがいいです。外部カメラは移動すればデジタル系特有のカラーのにじみを認識できてしまいますし、付属のMR作業向けVive Deskはセットアップ途中でクラッシュ(PC側のVAC許可要求が永遠ループした後にFocus Vision側のアプリがクラッシュしてホームに戻されます)するので未評価に。これならVDといったPCVR上にデスクトップを仮想的に浮かべるか、VRC内でバーチャルアバターと共にPC操作がセットでできるXSOverlayを使用する使い方をした方が遥かに良い体験になると思いましたね。ちなみにどうしてもパススルーを使うならPC画面をパススルー経由で見る事だけは必要でない限りやめた方がいいです。外部カメラFPSが不足しているのか、この手のもので酔う事が無い私でも酔う感覚に襲われたので。

>物理ハンドコントローラー

CV1からの移行者としてはコントローラー上部に輪っかが付いたのが少々気になりました。他に問題があるとすれば人差し指向けトリガーがスタンドアローン動作時にキーボード入力で正しく反応しない事が目立つ程に発生する事でしょうか。PCVR中でもVRC等で使用しているとちょっとコントローラーのトリガーに触れるだけですぐ反応してしまったりと感度が良すぎる反応をするといったような事が起きているので、ここまでの挙動を見るからにコントローラーの出来自体が悪いといっても良いのかもしれません。

アルトラ/トラッキングシステム全般関連

>アルトラ

今後、今開発中のゲーム「Eternity」でモックアップあるいはプロダクションレベルに整えられるならトラッカーによるアニメーションデータ作成に使う&ついにVRCに興味が出始めたのもあって購入しました。本来はViveシリーズで言うところのベースステーション方式が個人モーキャプで最適解なのは理解していますが、元々部屋が狭いのとOculus CV1時にもベースステーションと同様に設置していたレーザー照射範囲が遮られてしまう程の配置しか行えなかったので、今回はアルトラを採用しました。 既にVRCでアバター開発と同時にいろいろと試してはいますが、少なくとも購入前に想定した精度よりも良好に思える程の精度です。Kinect->CV1->アルトラまでを実際に辿ってきた身としてはよくまあこの精度をベースステーションでなくとも出せるなと思える位には高精度です。(Mocopi等の話もリアルタイムに聞いていたので尚更、精度面ではここまで出来る事に驚いています) インサイドアウト方式が如何に日本のルームスケールの現状とマッチしているかがよく理解らせられました。

トラックロスト絡みの話としては、極端にトラッカーカメラの視界が遮られる・光量が不足あるいは過剰になるとトラックロストしますが、基本的には1度SteamVR上のキャリブレーションを終えてからのトラック回復は早い方です。しかし、トラックロストしてからAFK等の理由でしばらく時間をあける・ロストさせた際に固定していたアルトラを物理的に外してから再装着するといったような極端なリアルの位置変動があるとなかなかトラックが再開されないケースが多いようです。こうなるとじっくりと再認識されるまでウロウロしながら待つか、アルトラの電源を落として再びキャリブレをするか...といった事になります。このような欠点もあるのでVRCのようなリアルタイムが重視され、再トラックする時間的余裕がないライブイベントといったシチュエーションで使用する場合はStandable: Full Body Estimationのような予測補間による仮想トラッカー追加+物理トラッカーロスト時のフォールバックを担えるツールとセットで運用するとある程度はこの問題を克服できそうですね。この辺りはベースステーション勢が羨ましくはなりますね。

Standable: Full Body Estimation

ここからは欠点を重点的に挙げますが、大雑把に言うと精度よりもアルトラで気にするべき点はどちらかと言うとキャリブレーションや部屋の光量調整でしょうか。

まず、キャリブレーションについてですが、主にキャリブレーションはPCVRではViveHubとSteamVRで2つのキャリブレーションが必要になります。ViveHub側のルームスキャン型のキャリブレーションは1度済ませてしまえば時々やり直す(ファームウェアアプデなどで稀にある)事がある程度で問題はないですが、一番問題があるのはSteamVR側のスペースキャリブレーションです。

まず、アルトラ自体を最低限1つは不正確な位置であれトラック状態 (キャリブレーションUI右上のトラッカー接続状態マークに(!)マークがついていないアルトラが最低1つ存在する必要がある) になっていないとスペースキャリブレーション自体が最初の手順でエラーによりやり直しになります。日によってはそこまで素直にトラックしてくれない場合もあるので苦労する場合もあれば、すんなりとキャリブレーションを進められる場合もあります。そして次のアルトラデバイス間の同期手順についても、具体的な同期手順が「トラッカーを拾う」としかガイドUIには書かれておらず、とりあえず装着したまま近くに並べて見たり、手に持ってゆらゆらさせてみたりと、これを行って同期されやすいかどうかもその時々次第、上手くいかない場合はアルトラの電源を切り直して再キャリブレーションしても上手く同期されたりされなかったり、つまりアルトラのご機嫌次第でキャリブレに掛かる時間が大幅に変わります。個人的にはキャリブレに使用したトラッカーの両隣に未同期状態のトラッカーを横並びに並べて認識するまで静止させるか、手で横並びになる形で持ち続けながらゆっくりとプレイエリアの中心で部屋を撮影するような感じでゆっくりと回る、あるいは2台を片手に1台を片手に持って2台のアルトラから1台のアルトラを視界に収めるという方法が認識しやすいように思えますが、今のところ確実に安定した同期方法は発見できておらず、この辺りの説明がSteam/Vive公式共にされておらず、不確実な動作をする点が煩わしく感じています。

次に光量についての注意として、特に快晴の日に遮光カーテンが無く、部屋が太陽光で明るくなっている場合は一般的なカーテンを使って光量を調整していてもトラッカー自体がキャリブレーション段階で認識しないので、とにかく極端な低・高光量には弱いようです。部屋で物理的に光量調整を行える手段がない場合はその時間帯での使用が出来ないと言って良いでしょう。

>ハンドコントローラーのトラック精度について

ハンドコントローラーのトラック精度についてはVRCをそこそこプレイした上での評価として、特に「プレイヤーがTポーズと同様に、顔を正面に向けながら腕を限界まで広げる・HMD本体前面に接触する程の至近距離にコントローラーを近づける」とトラック用カメラの視界から外れる/近すぎて認識できないせいかトラックが必ず飛びます。つまり後ろに手を回すといったポーズはハンドコントローラーではトラック出来ないと言って良いでしょう。(リストトラッカーオプションが存在するようなのでこれならトラック出来るかもしれませんが未購入の為、詳細は不明です)CV1を経験しているとその辺りが一切問題になりにくかったのを思い返すと自由度が狭められた事に気づいてしまうのが難点です。

>ハンドトラックコントロール

外部カメラの背景に手以外の物がどれだけ映り込むか/部屋の明るさや影といった要素次第で精度が大幅に変わります。ただしハンドトラックではスティック操作が出来ない様なので実質コントローラー充電中の代替操作手段として使うぐらいです。また、特にPCVR中はスタンドアローンOS側でハンドトラックコントローラーは無効にしないと物理コントローラーと操作が干渉するので必ず無効化してからPCVRに入った方が良いでしょう。

>アイトラッキング

既に他所のレビューでも見かけるようにドライバといったソフトウェア側がまだ未成熟だと感じましたが、安定している時は悪くない印象でした。どちらかというと問題になるのはアイトラ情報にアクセスする際の関連ドキュメント、特にVRCアイトラで使用するケースでは少々ややこしい事になる場合もあるようです。

まずFocus VisionのアイトラをVRCで動作させる手段は現時点で2種類あり

1、Vive Hub/OSC経由設定でシンプルにストリームするオプションを使う

発売初期の1ヶ月前後で動作しないという声が多かったようですが今は動作します。精度も私が購入した直後のファームウェアでは目が途中でつっかえるような挙動をする場合がありましたが、後のアプデにより少なくともEyeLookについては安定したようです。(瞬き認識については2番目の手段を採用した為に未確認です) ただしこの方法はアバター側の対応は勿論の事、対応手法としてVRC SDK 3.0標準のEyeLook & Blink設定等をベースにする方式で構築されているアバターのみでしか利用できないはずです。

2、Vive SDKのsr_runtime.exe(SRanipal) + VRCFTを経由する

この手法は過去のVive HMD系を継続して利用している方やその他のメーカー製のトラッカー群で得られた情報を統合してOSC経由で送受信する際によく用いられる手法のようです。実際にフルスクラッチアバター開発をしたので言える事ですが、VRCFT専用のOSCパラメータはかなり詳細なトラックデータをアバターに渡すように設定出来るので、トラック情報を活かしてAnimControllerを自主的に構築できるのであれば、アイ・フェイス・他トラッカー複合民は1番目の手段よりも自然とこちらのやり方に落ち着くのではないでしょうか。ちなみにこちらの手法でアイトラを行う場合、sr_runtimeが必須となりますが、これの入手についてが少々厄介な事になっていまして... それについては以下のnote記事を読めば解決出来るでしょう。

Focus Visionでアイ・フェイストラッキングするための備忘録(VRCFT)

いずれにせよ、VRCのアイトラ手段の選択については「SDK標準の設定のみしか行われていないのか or アバター自体がそもそもVRCFTのパラメータに対応させているのか」が手段選択のキーとなるので、正直な所、専用のアイトラ等を使用する時点でViveHubに用意された機能を使うよりはVRCFTを使う事の方が多いでしょうか。(まだVRC経験が浅いのでその辺りの現状は知らないのでなんともですが)

>フェイストラッキング

再入荷待ちで購入できなかったので未検証です。今のところ入荷したら買ってみたいと考えてはいるのでいつかこの記事に追記されるかもしれません。

>リストトラッカー

記事を書いている合間に公式のオプションを見に行って初めて知ったオプションなので未購入です。今のところアルトラがあるならそれだけでも十分だと思うので優先度は低いですが「ハンドトラッキングを強化したり、現実世界のオブジェクトをバーチャルリアリティに取り込むことができます」という公式説明があるのが少々気になってはいます。本格的なモーキャプをやり始めるようになったら購入を検討するかもしれませんが、今の段階では見送る予定です。

あとがき

レビューはこれで終了です。雑レビューと言っておきながら書き込み過ぎました(いつもの) まあ、ここまで読まれた方であれば察しがつくでしょう。少なくともFocus Visionは万人向けのモデルでは無いですね。値段もMeta系と比較するとフルセット揃えればかなりお高いので... 私の場合は本当にいいタイミングで余剰資金が出来たのがあったからというのと、特にOclus/Meta/他何かしらに極端に特化したVR機器メーカーよりもトラック精度を強みとしていたHTCに元々興味があった事、また「CV1水準を少なくとも上回り、どの機能も可能であれば欠ける事なく上位になるモデル」を選択するという購入条件を考えていたので消去法でこの機種が選ばれたというだけの事で、元からお金持ちでも何でもありませんが、少なくともゲームしかやらない人はまずこの機種に手を出すこと自体が非常に勿体ないので考え直したほうが良いでしょう。少なくともVR自体を単なるゲーム・娯楽体験だけの目的で使用するのではなく、それに付属するトラッカーフルセットを活かして独自のアニメーションを作成したいだとか、自身でアバターをフルスクラッチする際に、センサー系の情報を自由にコントロールしてアバターを活き活きとさせてみたいだとか、このモデルはそういったようなクリエイティブ要素を購入の動機に含めていれば、そのニーズを満たしてくれる珍しいモデルです。

(こんな事を言ってはアレですが、本当に消費者だけの目線で言えばVRブーム自体は既に過ぎ去り、VRゲームは売れないと企業からは距離を置かれ、出てくるVRゲームはインディーズでも定着するほどの斬新さがあるゲームが時々、極少数短期間で登場するだけで、結局はVRC or フラシム or アダルト用途に戻るというVR界の状況としては冷ややかな時点でただ遊ぶだけなら...ね? あとは分かるでしょう?)

参考になる人はどれだけいるかは分かりかねますが、検討していた方がもし閲覧していて参考になったのであれば良いですね。海外勢のレビュワーでは返品する話も観測していましたが、私はそこまでするほどではないと思いますよ。少なくとも...今のところは(頭をよぎるno hdmi問題ぇ)